第02話「継がれていくもの」

「…全く…あんた達って秘密にするのも大概にしなさいよね。すずかも気づいてたなら教えてくれてもいいじゃない。」

 アリサが大きいため息をつきながらぼやいた。それを見ていたヴィヴィオはアワアワと狼狽える。彼女の心の導火線に火が点こうものなら烈火の如く怒られるのは目に見えている。
 その様子を近くで何度も見て来た。その矛先が私に向こうものなら…

「でも、先に教えてくれたり私が覚えていたらそっちの方が大変だったわね…なのはがヴィヴィオと会う前に『さっきあなたの子供とお姉さんに会ったわよ』なんてなのはとフェイトに言っちゃったらここにヴィヴィオもアリシアも居なかったかも知れないんだから。すずかみたいに秘密にしておくなんて出来ないもの。」
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第01話「故郷の風」

「わ~っ♪ 何だかお祭りみたい。」

 高町ヴィヴィオはその光景を見て胸を躍らせた。

「賑わってるな~。元々は聖誕祭みたいな厳かなイベントやったんやけどな、みんなお祭り好きやからね~。」

 ここは第97管理外世界―日本―海鳴市。
 ヴィヴィオは商店街を歩きながら隣の八神はやてと話していた。

「その内聖誕祭もこんな感じになるのかな…だったら楽しそうですね♪」
「う~ん、人も違うし文化も違うから…難しいんとちゃうかな。」

 
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第00話「光舞う世界の中で」

「わぁ~すっごく綺麗…」
 部屋の窓を開けてベランダに出ると私はその光景に目を奪われていた。

 暗い闇の中、色とりどりのビルの明かりと街灯や部屋の光に照らされた白い光が落ちてくる。
 身も縮む様な寒さの筈なのに全く感じなくて…いつまでも見ていられそうだった。

「ヴィヴィオちゃん~、そんな格好じゃ風邪ひいちゃうよ。」 
「あっちじゃ雪なんて降らんしな~。」
「雪か…思い出すな」
「そうね…」
 部屋の中に居た4人はそう言いながら降っている雪を見つめていた。
新暦79年の冬。私、高町ヴィヴィオは海鳴市に来ていた。
 
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