「八神堂にいらっしゃ~い♪」
(は…はやてさん…)
ヴィータと一緒にやってきたのは八神堂と看板が掲げられた古書店だった。
ヴィヴィオ達が居る元世界とは全然違う世界と思っていたけれど、読書好きのはやてが古書店に居るのはどこか繋がっている気もする。
でも…
「大学卒業して社会人1年生!? ここ…はやてさんのお店!?」
アリシアと2人目を丸くして驚く。
「フェイトちゃんのそっくりさん?」
ヴィータが初心者に負けたと聞いてはやては冷やかし半分励まし半分で声をかけた。しかし彼女から聞いたのは行った先でフェイトそっくりの女の子が居たことだった。
「フェイトちゃんと見間違えたんとちゃう? それかアリシアちゃんかレヴィの変装とか?」
「ううん、ホントにフェイトそっくりだったんだ。ジャケットはライトニングだったけど、レヴィとは闘い方も全然違ってて…後で来たフェイトも驚いてた。あともう1人初心者も…いたけど、白のセイクリッドで見たことない砲撃撃ってすぐぶつかってきて…」
「結構近くでビックリしたね。」
少し大きめのリュックを背負ったヴィヴィオは隣のアリシアに向かって言った。
「うん、でも…そんな建物海鳴にあったかな~?」
首を傾げて答える彼女はリュックが2~3個入りそうな大きなトランクを転がしながら歩いている。
「お店の人からも地図貰ったから、早く言って元の世界に戻る方法さがそ」
「…そうだね。うん♪」
彼女には何か思う所があるらしいが、それでも2人の足取りは軽かった。
「挑戦者、フェイトだったら大ラッキー、他の知ってる人だったらラッキーってとこかなっ♪」
アリシアが上空に見えるウィンドウ目がけて突き進む。
設定ボタンに『挑戦者求む』の項目があったからそれをチェックしておいた。
魔法の無い世界でどうしてゲームの中で魔法が使えるのかは判らないけれど、デバイスホルダーに刻まれたミッドチルダ式のプログラム起動用魔方陣は何かに関係している。
フェイトと間違われ、彼女がロケテストをプレイしているのであれば彼女の友人、なのは達も同じ様にこのゲームで遊んでいる。
だったらただむやみに動くのではなく、彼女達の誰かが気づく様に網を仕掛ける。
「っと、到着。ってあれ?」
トンっと降り立ったヴィヴィオが辺りを見回す。
使ったのは時間移動魔法-【時空転移】ではなく異世界間に存在する刻の魔導書を使い移動する【旅の扉】…の筈なのだけれど…
「ねぇヴィヴィオここ海鳴じゃない? 少しだけ海の香りするし、あっちに見える看板日本語だよ。」
「えっ?」
彼女の視線を追いかけ看板を見つける。確かにミッド標準文字じゃない。
。
世界は必然が積み重なってできている。
いくら偶然と思えようと何か理由があるからそこにある。
必然が連なっているからこそ世界は成り立っている。
例え幾つもの事象が目の前にあっても、選んだ事象だけが必然になる。
些細な事でも重大な事でも変わらない。それが理であり真意。
これはそんな理を築く少女の物語