「戻っちゃったんだ…ヴィヴィオ。」
プレシアからヴィヴィオが元の世界へ戻ったのを聞いてアリシアは呟いた。
シュテル・ディアーチェ・レヴィが立て続けに消え、未知のエネルギーを使う姉妹が現れたのと併せるかの様に再び現れた。
それもヴィヴィオとはやてが壊したデバイスと魔導書を持って。
ここまで何か起きれば揃えば大きな事件の前兆とも思えるし、プレシアがヴィヴィオに言った通り闇の欠片事件の記憶から作られたヴィヴィオ達の思念体が現れたらもっと大変な事になる。
オリヴィエと応援をと言っていたからヴィヴィオはオリヴィエやフェイト達を連れて戻ってくるだろう。
「…ここは…研究所…オリヴィエさんはっ!?」
ヴィヴィオが目覚めるとそこはプレシアの研究施設だった。
「オリヴィエさんに知らせなくちゃっ」
ガバッと起きる。すると目の前には椅子に座ったオリヴィエが視界に入った。
「お帰りなさい。戻ってくると思っていました。」
「オリヴィエさん…! 交差する時間見つけました。急いで戻らなきゃ!!」
『そう…僕も何か手伝えたらって良かったんだけど…』
「仕方ないよ。未発見のレリックじゃ何処にあるかわからないんだから…」
オリヴィエの報告を受けて借りる準備をしていたユーノになのはが連絡した。はやては部屋の角で膝を抱えて落ち込んでいる。
こういう可能性もあったのに見落としていたのが許せないらしい。
『僕はNo.70のレリックを借りられる様に申請する』
「うん、お願い。」
『なのは、ヴィヴィオは僕も心配だけど、なのは達も無理しないでね』
「ありがとう、ユーノ君」
私達が海鳴にやってきて数日が経ちました。
こっちに来てからプレシアさんとアリシアは体が重くなったり消えかけたりは起きてません。
2人も口には出さないけどホッとしているみたいです。
プレシアさんはここに居る間翠屋で働いてます。
翠の文字が入ったエプロンを持参していたから桃子さんと士郎さんにどうして持っているのか聞かれて困ったらしいけど、それ以降は厨房で3人楽しそうです。
私もここに居る間手伝うつもりでしたが年末程忙しくないのと…
「私の仕事を取らないでください」とシュテルに言われちゃいました・・・。
オリヴィエが来た時既に日は変わっていた為はやては彼女を家に泊めた。そして翌朝なのはとフェイトに連絡を取った。
既にヴィヴィオは何処かの世界に行った後であり、何かが起きていてアリシアやプレシア、チェント、リニスまで連れて行ってしまったのを知った。
そして…
「はやてさん…考えたわね」
「違う世界の未来から来た…の…ね…」
「はい」
「モニタで見た雰囲気と少し違う…」
「…信じられない…」
「……」
海鳴市に居ればいつかは見つかる。そうなる前にと考えたヴィヴィオは3人と1匹を連れハラオウン家を訪れた。
ヴィヴィオ達を出迎えたのはリンディ・クロノ・エイミィの3人だった。
幸か不幸かフェイトはまだ学校に行っていてレヴィとアルフも散歩で出かけているらしい。
「ヴィヴィオ、心の中で魔導書に問いかけて下さい。『交差の軸になる時間はどこか?』と。その時見えたイメージが交差する原因となる世界です。」
言われた通り刻の魔導書を持って目を瞑り心の中で問いかける。
『こことぶつかる時間はどこ? 交差の軸になる時間はどこ? お願い、教えて…』
見えて来たのは砂漠、人影が3つある。
「魔力色が変わるというのは面白いですね、魔力コアというものは」
「出来たらいいなって思ってるだけなんです。でも、プレシアさんが言うには試した事は無いけれど属性が無いから好きな色に変えられるんじゃないかって。」
その夜ヴィヴィオはオリヴィエに学院であった事を話していた。
学院でヴィヴィオが下級生に教えた話を彼女は嬉しそうに聞いている。元々彼女が来なければこういう事にもならなかったと最初は恨みもしたが今はもう無い。
初めて魔法が使えた時の喜び、あの感動を得られる手助けになるならという思いが強くなっている。
「いらっしゃいませ、…あなたでしたか」
カランカランとドアベルの音がなって少女が笑顔で振り返る。だが鳴らした者の姿を見た後元の表情に戻ってしまった。
「えーっ、折角来たのになんだよ~っ」
「では…ありがとうございました。またお越し下さい。」
再び営業スマイルでお辞儀をする彼女に
「いきなり追い出すのっ!? なのは~シュテルんが虐める~」