キャロとフリードが仲直り(?)してから数日の間、機動六課も平和な日々が続いていた。
特にキャロ・ヴィヴィオ・フリードの2人と1匹は隊舎の近くで遊ぶことが多くなった。
時折シャマルが検査を兼ねてキャロとヴィヴィオに簡単な勉強を教える事もあった。
その間エリオはザフィーラと一緒にキャロ達を眺めたり、エリオ自身が知らなかった事があったときは真剣に聞いて授業に参加する事もあった。
「う・・・んん・・」
「おはよう、キャロ」
「フェイト・・まま?」
ユーノが去ってから夜が明けた頃、彼が言ったようにキャロは目覚めた。
流石に昨日一日中眠っていた為かまだぼーっとしているみたいだ。目をこすりながらのそのそとベッドから下りようとしている
部屋のベッドと勘違いしたのか、落ちそうになるキャロを支えるフェイト
空に浮かぶ二つの月明かりが部屋に射し込む。
時折僅かに聞こえる機器の音が静かな部屋中を掛け巡る
『あの時私がもっとはやく気づいていれば・・』
静寂の中フェイトが繰り返し思うのはこの事だった。目の前で静かに寝息をつくキャロ。以前キャロに『どこに行くのかじゃなくて、どこに行きたいのか』と言った自らの言葉を守り、キャロは六課に来てくれた。
しかし、それがこんな事になるとは思っていなかった。
それに、あの事故のキャロが見せる笑ったり泣いたり怒ったり・・・そして周りが心配していても気にせず自分のやりたいことに進む子供っぽさ、それが余計に今までキャロに無理させていたのかと考えずに居られなかった。
「「シャマル先生っ!」」
エリオとティアナが医務室に駆け込むとそこにはシャマルがキャロの周りに色々な器具を用意していた。どうやら医療器具系みたいだ
「キャロは?」
エリオがキャロの顔を見ると、出て行った時と変わらず健やかな寝顔をしている。寝息も規則正しく聞こえた。
隣にきたティアナもキャロの顔を見て安堵した
「シャマル先生、ビックリさせないで下さいよ。ただ眠っているだけじゃないですか」
翌日までエリオは昨日の嵐で受けた怪我を治す為に医務室で一夜を過ごした。
『結局キャロの部屋で一緒に寝たのは1日か・・』
あれから、何度も直後のことを思い出そうとするのだが、肝心な所がもやがかかった様に思い出せない。
何度か考えているうちに、エリオ自身は
『キャロが無事だったんだからそれでいいや』
と思うようになっていた。
このお話は登場人物の真の素顔・・ではなくプライバシーを守る為、激しい描写については伏せさせて頂いております。
悪魔で・・あくまでもヴィヴィオの日記ということでお読みください。
誹謗中傷以外ならコメントに書いて頂けると今後の参考にさせて頂きます。
それではどうぞ~~
昼食を食べ終えヴィヴィオがお昼寝の時間になり1人になった時、キャロはエリオを探して隊舎の方へやって来ていた。
「おにいちゃ~ん?」
その声を聞いてバタバタと何かがキャロに近づいてくる。
「どこ~~?」
「キャウ」
「!!」
キャロの目の前に下りるフリード。
「ねぇ、これなんてすごく美味しいですよ♪」
「・・・・・・」
「ねぇ、フリードさん。これなんてどうです?一緒に食べましょうの!」
「・・・・・・」
「そうそう、前の休みの時にはやてちゃんに買ってもらったです。どうですか~?」
「・・・・・・・」
「う~ん、じゃあ気分転換に一緒に街へ遊びに行きませんか?フリードさん♪」
「・・・・・・」
「はぁ・・・」
キャロはエリオが朝練に出て行くのを見送ってから1人残った部屋を見回していた。
家具はともかく、一気にエリオの私物も入った事できちんと整理された中で何が何処にあるのかさっぱり判らない。
「・・まとめておいた方がいいよね!」
と服を取り出して着替え始めた。
ピンポンパンポーン♪
このお話は「守りたいものはありますか? 10話「朝の一時」」のサブストーリーです。
この話だけでもわかるようにと書いていますが、10話を先に読んで頂く方がより楽しめると思います。
それではどうぞっ!
ピンポンパンポーン♪
「ねえ、キャロ?」
「なぁに?お兄ちゃん?」
朝食を食べた後、部屋に戻ったエリオはキャロに声をかけた。2人の服の整理を続けているキャロは手を止めて振り返る。
「今日、スバルさんやなのは隊長に言われたんだけど・・・」
「うん?何を?」
「『元気になりすぎてフェイトさんをおばあさんにしちゃダメだよって』。何のことだかわかんなくて・・・キャロわかる?」
「フェイトママをおばあさんに?」
「そう、でもフェイトさんって僕たちより10歳くらい年上なだけで、おばあさんって言えないよね?」
「うん、フェイトママはフェイトママだもん!」
エリオが再び目覚めたのはフェイトの膝枕だった。
「えっ!僕どれくらい?」
「今日の捜査はおしまい、今は六課に戻ってる最中・・・エリオすごく疲れていたみたいだったし」
フェイトの言葉を聞いて青くなるエリオ。フェイトの前に立ち頭を下げる。
「もっ申し訳ありませんっ。始末書は後で提出します。」
「大丈夫、今日は打ち合わせが主だったし、それに・・・」
フェイトは胸元から紙片を取り出してエリオに見せた、それはエリオの休暇届だった。しかも八神隊長のサインが既に入っている。
数日後、管制室になのはとフェイト、そしてはやてが集まっていた。
「ティアナから報告貰ってるんだけど、・・やっぱりまずいんじゃない?」
「注意もしてるんだけど・・・」
「今まで理性で抑えてたのが取れたからとか?」
「はやてちゃん!動物じゃないんだから・・・でも、キャロがエリオにくっついて行ってる間、ヴィヴィオが独りぼっちになっちゃってなんだか寂しいみたいなんだ・・・」
「せっかくお姉ちゃんができても独りぼっちか・・・それは辛いね、でもエリオまで職場放棄すればフォワード隊も無茶苦茶になるし、エリオも多分納得しないだろうし」
「お兄ちゃん~、一緒にお散歩いかない?」
「お兄ちゃん~、ご飯一緒に食べよ♪」
「お兄ちゃん~、どこにいくの?」
「お兄ちゃん~、あそぼ♪」
「お兄ちゃん~・・・」
ヴィヴィオと良く遊ぶ様になってキャロも六課の雰囲気に馴染んできていた。特に喜んだのはヴィヴィオで、少し前迄は1人か守り役のザフィーラを過ごす事しか無かったのが、いつもキャロと一緒に居られる事で姉の様にキャロを慕い出していた。
キャロが機動六課に戻ってきて数日が経った。
はじめはヴィヴィオや六課で働く局員に対して怯えたり、怖々と接することが多かった。しかしヴィヴィオの人見知りをしない性格が功を奏した様で徐々にうち解けていった。
「どうしたの?フェイトちゃん?調子悪い?」
ある日ヴィヴィオ・キャロと一緒に食事をしていたとき、なのははフェイトが少し悲しそうな顔をしているのを見逃さなかった。
キャロが本局医療班で目覚めてから数日の間、フェイトはキャロ病室に足しげく通った。最初はオドオドしながらだったキャロも次第にフェイトを母親の様に慕いだしていた。そしてその間もなのはやフォワードメンバーはキャロの不在を埋める為に新たな連携パターンの訓練を続けていった。
更に数日が経った頃、フェイトはキャロを連れて六課に戻ってきた。
「お帰り~、フェイトちゃん、それといらっしゃいキャロちゃん」
「ただいま・・なのは。キャロ挨拶は?」
なのはの声にびっくりしてフェイトの影に隠れるキャロ、それをみてフェイトがフォローする
「キャロ、この人は私の大事なお友達のなのはさん。だから、ね!」
「う・・うん」
「じゃあ、ご挨拶」