ヴィヴィオが空戦魔導師研修を受け始めて少し経った頃、ヴィヴィオはコラードと一緒にミッドチルダ地上本部近くにあるトレーニング場に来ていた。
研修の内容はヴィヴィオの年齢や試験結果を踏まえてかまだそれ程難しい内容ではなく、ヴィヴィオもなのはやフェイトに聞かずにこなしていた。
でも魔導実技の研修はいつも練習している近くの公園で行う訳にもいかず、かといってヴィヴィオ1人の為に大きな場所を借りる訳にもいかなくて色々考えた結果今のトレーニング場の1角を時々借りてすることになった。
今日はその1回目でコラードに使える魔法を見せていた
アインハルトがイクスと会っていた頃、ヴィヴィオとアリシアというと…
帰り道で警防署から出てきたスバルとティアナと出会い、カフェで少し早い昼食を食べていた。
(私とティアナさんは見慣れてるけど…やっぱりびっくりするよね。)
軽めの物を頼んだ私、アリシア、ティアナさんだったけど、スバルさんは少し…かなり多い料理を注文して私達と会話をしながら吸い込むように料理を口の中に入れていた。アリシアは途中から手を止めて驚いている。
「古きベルカのどの王よりもこの身が強くあることを…か……」
ヴィヴィオはスバルの家のベランダで外を眺めながら考えていた。
「アインハルトさんもそうだったのかな…」
なのはにはスバルの家に泊まるとメッセージで伝え、アインハルトの話を聞いた後事情も話した。アリシアと一緒にフェイトも話を聞いていたし大丈夫だろう。
…それよりも…
「あ~~~~やっぱり私のせいだよね?」
夕暮れの中2人の女性が走っていた。
「スバル、この辺なのよね?」
ティアナ・ランスターは近くに居るスバル・ナカジマに声をかける。
まさか話したその日にヴィヴィオに対して襲撃があるなんて…
「うんっ、池の畔だって…居たっ!」
凝視しながら見回していると湖畔のベンチ付近に人影が見えた。
「ヴィヴィオ~っ!!」
「スバルさん、ティアナさん」
学園祭のクラス委員の話をしてから少し時間が経った放課後
「リオ、コロナまた明日ね~」
「またね~」
「ごきげんよ~ヴィヴィオ」
「バイバイ~」
今日は無限書庫の依頼も無く研修もまだ始まってないからコロナやリオと遊びに行くつもりだった。
でもアリシアが
「ごめん、今日フェイトとヴィヴィオの家で会う予定なんだ。本当にゴメンね」
「う…うん」
空戦研修をコラードが担当することになった翌日、Stヒルデ学院でヴィヴィオはアリシアに彼女の事を話した。
「フェイトとなのはさんの先生か~、何だか凄そうな人だね。」
「私には優しそうに見えたんだけどママ達は凄く真剣に聞いてた。」
「ナニナニ~? 何の話?」
そこへ登校してきたリオとコロナが話に混ざってくる。
「昨日の話?」
「うん、決まったからみんなに話そうと思って。」
そう言って再び彼女の事を話した。
「なのはママ、フェイトママただいま~♪」
ヴィヴィオは地上本部へ寄った後、そのまま家に帰ってきた。
先になのはとフェイトにメールしたら2人とも私の研修が気になって早めに帰ってきていた。
「おかえり~ヴィヴィオ♪ !?」
「先生どんな人だった…えっ?」
出迎えたなのはとフェイトが私の横に立っている人を見て固まった。
「元気そうね、なのは、フェイト」
「「コラード先生!?」」
まだ夏の強い日差しが残っていたある日、Stヒルデで授業を受けていたヴィヴィオに1通のメールが届いた。
届いたのが授業中だった為に誰も気付かず、メールが来ているのにヴィヴィオが気付いたのはお昼のお弁当を食べようとした時だった。
「メール? 管理局から…『空戦魔導師研修の案内』?」
「研修?」
一緒に食べようとしていたアリシアやリオ、コロナも気になって聞き返す。
「うん、研修って書いてる。」
先にざっと見て特に見せられない内容は無いと思い机に広げて3人にも見えるようにした。
「うん、じゃあまたね♪ ルネッサさん、ありがとうございました。」
ヴィヴィオはそう言って虹色の光球の中に消えていった。
ルネッサはイクス達とそれを見送った。
光が消えた後ルネッサの前に1人の女性が来る。ヴィヴィオに似ているがどこかプレシアの様な雰囲気も感じる。
「ルネッサ・マグナスさん。挨拶が遅くなりました。チェント・テスタロッサです。母さん…プレシアの代理で来ました。」
紹介されて『あぁ』と納得する。
彼女はプレシアの所で見た小さなヴィヴィオっぽい少女の成長後らしい。
ヴィヴィオ達が時空転移して戻って来たのは、出発して5分ほど経った後だった。
まだアリシアもチェントも起きていない。
「戻ってこられた…あっ!」
ヴィヴィオが時間を見てホッと息をついた瞬間、体から力が抜けた。
「っと、危ない。」
テーブルにぶつかる寸前にルネッサがヴィヴィオの手を引き抱き寄せた。
ヴィヴィオがプレシアの家にお泊まりした翌朝
「ふぁ~…ルネッサさん、おはようございます」
目覚めて体を回し隣を見ると一緒に寝ていた筈のルネッサの姿が無かった。
「あれ?」
もう起きたのかと思って起きてリビングに行ってみると
「おはよう、よく眠れた?」
「ヴィヴィオ、おはよう」
(ルネッサさん…名前どこかで聞いた気がするんだけど)
プレシア達の夕食の団らんに混ざりながらヴィヴィオは思い出そうとしていた。
チェントの話を聞いて時折笑顔を見せるけれど、ヴィヴィオの視線に気づくと直ぐ強ばった表情に変わってしまう。時折ヴィヴィオやアリシアが話を振っても「はい」とか「いいえ」とか1言で終わって話が続かない。
突然10数年前に連れてこられたら警戒するかもとは思ったし、ルネッサの紹介は以前お世話になっていた人の家族と言っていたから今回の転移についてはアリシアは知らせるつもりはないらしい。
それに…
軌道拘置所の職員である女性はルネッサ・マグナスの支度を調えるのを手伝っていた。
ミッドチルダ出身ではない彼女にとってルネッサが何をしたのかも特に気にとめていなかった。
更正支援専門の局員なら1人1人面会面会もしているけれど、そうでない者が感情移入していてはこの仕事は続かないし、保釈まで10年以上の者には外の世界には縁も無い話だからだ。
互いが決して交わらない位置にいる、それが暗黙のルール。
しかし今隣で衣類をまとめているルネッサにはそのルールを破りそうな程興味を覚えた。
本局提督からの特別措置による保釈…今まで聞いたこともない。一体どんな方法を使ったのか?
さぞ嬉しいだろうと思い彼女の顔をのぞき見る。しかし…
。
「失礼します」
ヴィヴィオがリンディの執務室に入ると彼女は一瞬驚いた顔をしたがその後笑顔で出迎えた。
「いらっしゃい、あら小さなお客様ね。」
10数年経っている筈なのにその姿は殆ど変わっていなくて逆にヴィヴィオが驚かされた。
「たか…じゃなかった。チェント・テスタロッサです。プレ…母様から預かった手紙を持って来ました。」
(チェント…たしか母様、姉様って言ってたよね…)
「本当にいいのね?」
険しい眼差しで目の前の彼女に問いかけた。
『あんなの見せられちゃったら…ね。』
「思いつくものは全て用意したわ、あとは…実行するだけ。」
『なるべくフォローするつもり、お願いね』
「ええ」
深く頷く。
普段から笑顔を絶やさない彼女だけれど、今は終始神妙な顔つきだった。
私がはっきりと覚えているのは小さかった頃の記憶。
家でママが帰ってくるのを待っていた時、知らないお姉さんがやって来てママの所へ連れて行ってあげると言われた。
その後急に眠くなって起きたら少し痩せたママが私を見て抱きしめてくれた。
それからママと知らない世界に行って一緒に暮らし始めて、学校にも通って新しい友達も沢山出来た。
その頃のママは病気で辛そうだったけれど、日が経つに連れいつもの…私の知っている元気なママに戻った。
色々あった夏休みも終わって新学期を迎えた日
「ねぇねぇ、あの子…」
「え~そうかな…」
「あの子…」
「本物じゃない?…」
「……なんだかずーっと誰かに見られてる?」
レールトレインの中でヴィヴィオは変な視線を感じていた。
その視線は登校中のレールトレインに乗った時から始まって、Stヒルデまでの通学から教室に入るまで続いた。その後も授業間の休憩時間、お昼まで視線は消えなかった。
真夏の猛暑が真っ盛りなある日、管理局本局から少し離れた世界で新型のデバイステストをしていた高町なのはは愛機レイジングハートの調子がいつもと違っているのに気づいた。
魔法を使おうとするとちゃんと思った通りの魔法が発動するし、細かな調整も出来るから異常と言うほどのものでもない。でもいつもとどこか違う。
「レイジングハート、どこか調子悪い?」
気になって話しかけると
【Master…】
愛機から予想もしていない答えが返ってきた。
「…ハァ…」
彼女は深いため息をついていた。
そこは聖王教会から少し離れた所にある大きな建物。その中の1室で1人の女性が…
「…ハァ…どうしたものかしら…」
深いため息をついていた。
「プレシア~チェントとお菓子作ったから一緒に食べま…どうしたんです?」
そこにやって来たのはシスター服のセイン。
「ありがとう、今行くわ。」
椅子から立ち上がった。
「やっぱり1対1だった」
アリシアの作戦通り、ヴィヴィオは模擬戦開始の合図と共になのはの方へと一直線で向かった。
「約束だもん。行くよ。RHdっ」
【Armored module Drive Startup】
「私も、レイジングハート、エクセリオンモードドライブっ!!」
【Ignition】
虹色と桜色の光の柱が立ち上る。一方で
「ディアーチェとは初めてだね…私が勝つから」
「我は王よ、貴様なんぞに負けてたまるかっ」
金色と白色の光柱が生まれる。