『ジュエルシード見つけたよ。なのはちゃん』
「わかりました。すぐに行きます」
アースラで用意された自室で横になっていると、エイミイの声が聞こえた。
慌てて飛び起きてユーノと共に転送ゲートへと走る。
「ユーノ君、ジュエルシードは全部で21個だったよね」
「そうです。だから多分・・・」
「フェイトちゃんからの呼び出し・・・」
「さて、早速ですけどあなた・・・ヴィヴィオさん、この世界・・時間の人間じゃないわね」
「ブッ! ケホケホッ」
気付かれているだろうと思ってはいた。でもまさかいきなり核心を突かれるとまでは考えてなかった。
思わずお茶を吹き出しそうになる。
「どっ・・どうしてそう思うんです?」
「そんなに遠くない。あっちの方向」
「うん、レイジングハートお願いっ」
【Standby Ready Setup】
「なのは~ヴィヴィオ~お散歩行くの? 車には気をつけて・・・あら?声が聞こえたと思ったんだけど・・・」
桃子がキッチンから顔を出した時、もうそこには2人と1匹の姿は無かった。
「私に無茶しないでって言ってて、ヴィヴィオの方が無茶してるっ!」
「なんて危ないことを・・・」
治癒魔法をかけて貰った後、なのはとユーノの2人が声を揃えヴィヴィオに怒った。
病院へなのはを迎えに行って、その足で家に帰ったヴィヴィオ達。
だが、その途中でなのははヴィヴィオが左手を庇っているのに気付いた。
「なのは・・大丈夫?」
「ここは?・・・そっか・・私・・」
フェイトとの勝負が決して2間ほど経った頃、客室のベッドでなのはは目覚めた。
心配そうに見つめていたすずかとアリサも安堵の息をつく。
「なのはちゃんごめんね。それに・・ありがとう、アイを助けてくれて」
ニャーとすずかに抱かれて鳴く子猫を撫でながら
「良かった。本当に・・・良かった。すずかちゃん、アリサちゃんごめんね心配かけて」
元気は無いけれど、それでも受け答えがはっきりしているのでヴィヴィオもホッと一息ついた。
「いらっしゃいませ♪」
海鳴温泉への旅行も終わり、ヴィヴィオの日常も平穏を取り戻していた。
「ヴィヴィオ~レジお願い~」
「は~い♪」
でも、旅行前とほんのちょっと変わっていて
「ヴィヴィオありがとう。もうすぐランチタイムも終わるからお昼は一緒に食べような」
「うん」
ヴィヴィオと士郎・桃子の距離がちょっとだけ近づいていた。
「家族旅行? 温泉? 明後日?」
「そうよ。ヴィヴィオちゃんも一緒」
「私も?」
「うん♪」
「ごちそうさま」
「あら、もういいのヴィヴィオちゃん」
「うん・・もうお腹いっぱい・・お部屋に戻る」
「そう・・・」
そう言いダイニングから出て行く後ろ姿を見送り、残された桃子達は顔を見合わせる。
「ヴィヴィオちゃん、どうしたのかしら? 店であんなに元気だったのに」
「・・・・・」
桃子の言葉に「さぁ?」と首を傾げる士郎達。
その中でなのはとユーノは原因が自分達のせいだとは言えなかった。
「おかえり」
「!!」
「ずいぶん遅かったね、ヴィヴィオちゃん」
高町家の門を入り扉に手を触れた瞬間、ヴィヴィオの左右からほぼ同時に声が聞こえる。
士郎と恭也、2人の声から怒っているのははっきりとわかる。
「こんな遅くに、何処に行ってたんだい?」
「えっ、あのっその・・ごめんなさい」
『この時はまだ魔法の事とか知らないし、どうすればいい? ユーノ君』
「ハァッハァッ・・・・」
「逃がし・・ちゃった・・・・追いかけ・・なくちゃ・・」
(誰の・・声?)
「誰か僕の・・声を聞いて」
(だれ? 誰なの?)
「力を・・・貸して・・・魔法の力を・・」
(力って? 答えてよっ)
声はその後聞こえなくなってしまった。
「なのはママ」
「どうしたのヴィヴィオ?」
「なのはママとフェイトママ、ずっとずっと前から仲良しなの?」
ある夜、一緒に入ったベッドの中でヴィヴィオがなのはに向かって聞いた。
「誰か友達とケンカでもしたのかな? なのはママとフェイトママはね最初はすっごく仲が悪かったの。でも、なのはママもフェイトママもお友達になりたいって思ってたんだ。だからなのはママはフェイトママに言ったの。『名前をよんで』って。それからずっと大切なお友達」
「・・・・」
「もしヴィヴィオが誰かとケンカしちゃって、それでも友達になりたいならまっすぐ見つめてお話しようよ。『名前をよんで』って」
「・・・・うん・・・」
優しく微笑んだなのはの顔を見つめて頷く。
それは、ある事件が始まる前のずっとずっと前のお話
世界は必然が折り混ざって成り立っている。
もしそれがある時を境に変わってしまったら・・・
同じ未来に繋がる?
全然違った世界になる?
それは誰にも判らない事。
でも・・・もし・・・それを知ってしまった時
あなたはどうしますか?
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拝啓 機動六課の皆様
お元気でしょうか?こちらはキャリア共々平和な毎日を過ごしております。
キャリアはそちらに居た時間がとても充実していたらしく、今でも毎日の様にそちらで過ごした時の事を教えてくれます。
そして、もう1人の娘、キャロもキャリアと一緒の生活に慣れてきたようで、今日も2人で私を時々困らせて楽しんでいたりと娘の元気になった姿を見て嬉しく思います。
機動六課については1年間の試験運用部隊だとクロノ・ハラオウン提督より伺っております。運用期間が終わりましたら是非一度お越し下さい。
それでは皆様の御活躍を期待しております。
トーリア・ドライエ
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「ユーノ司書長、ミッド機動六課より連絡が入っています」
「繋いで下さい」
ユーノは連絡が来るのを予期しており、静かに答えた。
『ユーノ君!キャリアの事なんやけど、あのなっ!!』
「魔法素子の急激な減少と・・・フェイト、エリオのリンカーコアの吸収」
慌てふためいたはやての声がユーノの一言で黙ってしまう。
「ユーノ司書長・トーリア博士、スプールス地上本部とミッドチルダ行政府からデータの受信要請が届いています。」
「僕に?」
首を傾げて隣のトーリアを見るユーノ。トーリアも知らないらしく
首を横に振っている。
受信要請を受けるという事はデータを送付した者から送付先の者まで機密扱いのデータが含まれ、高度なセキュリティが施されているのを意味する。
(・・・なんだろう・・・この感じ?)
八神家に来てからキャリアは胸の中で何か違和感の様なモノを感じていた。
何か胸が熱くなって急にエリオと会いたくなるような変な感じ
だが、前の体が重くなる様な感じでもなく意識をすると何も無かった風に消えてしまう。
はやて達に気遣わせるのも躊躇われ、気のせいで片付けてしまった。
「おはようございます。はやてさん、キャリア」
「おはようございます。」
朝練が終わり汗を流したエリオとキャロが朝食を取りに来た時、先客のはやてとキャリアを見つけた。何か楽しそうに話をしている。
「おはよう、朝練お疲れさん」
「おはよう。エリオ、キャロ。今ねスプールスの話をしてたんだ♪」
「スプールス?」
「ホントっ!」
▲がつ●▼にち
きょうはエイミイさんとカレルくんとリエラちゃんとおはなしした。
すっごくなかよしなんだよ。
ヴィヴィオはひとりぼっちだからヴィヴィオもいもうとかおとうといないの?
ってはやてさんにきいたらきいてみるって。おとうとかな?いもうとかな?
すごくたのしみ。
△がつ●×にち
きょうはシャマルせんせーをかんさつします。
シャマルせんせーはなのはママとフェイトママとかはやてさんとかみんながけがしたりびょうきになるとなおしてくれます。
でもヴィヴィオけがもびょうきもしてなかったのにシャマルせんせーきてた。
シャマルせんせーはいつだれがけがとかびょうきをしてもすぐにかけつけられるようにいむしつにいます。
いまもスバルさんがれんしゅうちゅうにけがしたところをみてもらってるよ
ヴィヴィオがヴィータさんやシグナムさんみたいにたたかわないのってきいたら
みんなががんばるからシャマルせんせーはみんなにがんばれーってしてるんだって。
でもなのはママとずーっとむかしにたたかってかってるってすごい
スバルさんのけがをなおしたら、スバルさんとヴィヴィオにおかしをくれた。
あまいものをたべるとけががはやくなおるんだって
でも、シャマルせんせーヴィヴィオとすばるさんよりいっぱいたべてた。
シャマルせんせーけがしてるのかな?
「今日も遅くなっちゃった・・・」
捜査会議を終えフェイトが機動六課に戻ってきた時、日も暮れていた。
今日はエリオとキャロ・キャリアを本局に向かわせるという話を今朝はやてより聞いていて、エリオの事も心配だけれどレリック捜査の方も置いておくわけにはいかず、後の事をはやてやシグナムに頼んで後ろ髪ひかれる思いで捜査に向かっていたのである。
時計を見るともうすぐ日が変わる・・・エリオと話をしたかったがもう眠っているだろう。
部屋に戻る前にフェイトはちょっとだけ寄り道をする事にした。
時空管理局医療班、本部と支部を間違えない為に「医務局」と呼ぶ者もいる。時空の狭間に作られた建物の中には管理世界の高度が魔法技術があらゆる場所で使われている。
それは中にある医療班も同様で、他管理世界より高度な医療技術が集中していた。
「やっと着いた・・・」